宝くじのような社会

宝くじは買わなければ当たらない という でも 宝くじは買っても当たらない 宝くじの売り上げのうち 当選者に支払われるのは 46.5% だから 確率論からいえば 5億円当てるためには 10億7500万円以上の宝くじを買わなければならない でも実際には 1等と前後賞との5億円を当てるには 10億7500万円では十分でない 宝くじの番号は組と番号でできていて 組は01~100組までの100通りで 番号は100000~199999番までの10万通りで 01組100000番から100組199999番までの1ユニットは1000万枚 1枚300円だからもし全部の番号を買ったら30億円かかる 1等と前後賞との5億円を当てるのに 23組130916番と23組130915番と23組130917番の3枚の宝くじを買うために 30億円も用意しなければならないのだ こんなに割の悪い話なのに 街中の宝くじ売り場に行列ができて みんなが一攫千金を夢見る 当たらないのに当たると信じて 宝くじは買わなければ当たらないと言いながら 宝くじを買う 考えてみれば 私たちの社会も似たようなもので 働きに出て行った人の一年間の売上高は2000万円 そのうち給与やボーナスで貰えるのが500万円 こんなに割の悪い話なのに 学校を卒業した人たちは先を争って就職し 仕事を失えばハローワークに列を作る 働かなければ生きていけないという社会で 仕事はどんどん AI に奪われて 働きたくても仕事はなくて 仕事がないと生きていけなくて 2000万円売り上げて貰えるのは 500万円から400万円になって 400万円から300万円になって それでも私たちは生きていく 宝くじには 買わないという選択もあるけれど 就職は しないという選択はなかった これからはきっと かすめ取られるために働くことはなくなって 就職をしないのも変でなくなって 宝くじのような社会はなくなって とここまで書いて そんなことは起きないだろうなあと思っている私がいる